2019年06月14日
今週の注目感染症 令和元年・第23週(6月3日~6月9日)
■ コメント
・今週は、手足口病の定点医療機関当たりの報告数が 11.73 となり、過去 5 年間で最も高くなりました。
感染を予防するため、流水と石けんでしっかり手を洗いましょう。
・全数報告では、腸管出血性大腸菌感染症の報告数が 4 件ありました。
腸管出血性大腸菌感染症は、夏から秋にかけて発生が多くなります。
腸管出血性大腸菌感染症についての詳しい情報は、別紙をご覧ください。
・福岡県感染症情報ホームページ>>詳細はこちらでは、感染症発生情報、病原体検出情報などを公開しています。
◆県民の皆様へ◆
腸管出血性大腸菌感染症について
○ 大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在します。
ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。
病原大腸菌の中には、毒素(ベロトキシン:VT)を産生する腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあり、この菌に感染すると出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす場合があります。
○ 腸管出血性大腸菌は、菌の成分によりいくつかの種類があります。代表的なものは「O(オー)157」で、その他に「O26」や「O111」などが知られています。
○ 少量の菌数(10から100個程度)でも感染が成立し、人から人へ、または人から食材、食品への経路で感染が拡大しやすいとされています。
○ 保育施設や高齢者施設における集団感染が報告されています。
○ また、動物と接触することにより感染した事例も報告されています。
≪症状≫
○ 感染して4~8日間程度の症状のない期間の後に腹痛や水様性の下痢を起こし、その後、血液の混じった下痢となることがあります。
また、嘔吐や38℃台の高熱を伴うこともあります。
○ さらに毒素の作用により、溶血性貧血や急性腎不全を来し、溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすことがあります。
特に、小児や老人では、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症(けいれんや意識障害など)を引き起こしやすいので注意が必要です。
≪予防のポイント≫
○ 腸管出血性大腸菌感染症が多発する夏季は、食中毒の予防をより徹底することが重要です。
○ 感染症予防の基本は手洗いです。調理時、食事前、トイレやおむつの取り替えの後は、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
○ 75℃1分以上の加熱で菌は死滅するとされていますので、調理にあたっては、中心部まで十分に加熱(75℃1分以上)し、調理した食品は速やかに食べましょう。
○ 調理済の食品に菌がつかないよう、調理器具は十分によく洗いましょう。
○ 焼肉などでは、生肉専用の箸やトングを使い、食べる箸と使い分けましょう。
○ 子どもや高齢者など抵抗力が弱い方は、重症化することがありますので、生肉や加熱不十分な肉料理を食べないようにしましょう。
○ 患者のいる家庭では、便に汚染された下着等の取扱いに注意しましょう。
【福岡県感染症情報センターより参照】
(令和元年6月14日更新)