2017年09月15日

今週の注目感染症 平成29年・36週(9月4日~9月10日)


■ コメント
今週も腸管出血性大腸菌感染症の報告が続いています。一般的な症状は腹痛、水っぽい下痢及び血便です。
子どもや高齢者が感染した場合は重症化しやすく、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの合併症を起こす場合があります。
気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
また、感染しても発症しないことがあり、知らずに家庭内で感染を広げることがあります。日頃から手洗いを徹底するなどの感染予防に努めてください。

■腸管出血性大腸菌感染症について
○ 腸管出血性大腸菌とは
大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在します。
ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。
病原大腸菌の中には、毒素(ベロトキシン:VT)を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。
腸管出血性大腸菌は、菌の成分によりいくつかの種類があります。代表的なものは「O157」で、その他に「O26」や「O111」などが知られています。
○ 症状
一般的な症状は腹痛、水様性下痢及び血便です。嘔吐や38℃台の高熱を伴うことがあります。
さらに毒素の作用により、溶血性貧血や急性腎不全を来し、溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすことがあります。
小児や高齢者では、痙攣、昏睡、脳症などによって致命症となることがあります。
○ 予防のポイント
① 感染症予防の基本は手洗いです。調理時、食事前、トイレやおむつの取り替えの後は、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
② 75℃1分以上の加熱で菌は死滅するとされていますので、調理にあたっては、中心部まで十分に加熱(75℃1分以上)し、調理した食品は速やかに食べましょう。
③ 調理済の食品に菌がつかないよう、調理器具は十分によく洗いましょう。
④ 焼肉などでは、生肉専用の箸やトングを使い、食べる箸と使い分けましょう。
⑤ 乳幼児や高齢者など抵抗力が弱い方は、重症化することがありますので、生肉や加熱不十分な肉料理を食べないようにしましょう。
⑥ 患者のいる家庭では、糞便に汚染された下着等の取扱いに注意しましょう。

【福岡県感染症情報センターより参照】
(平成29年9月15日更新)